【執筆者】整形外科医 竹谷内 康修 

慈恵医大卒。福島県立医大整形外科に入局。米国のナショナル健康科学大学でリハビリ技術を習得。2007年東京駅の近くで開業。著書・マスコミ掲載多数。

最終更新日:2020年11月8日 公開日:2019年11月6日

首の痛みが長年治らない。
枕が合わず、症状がひどくなる。
首が痛いと頭痛も起きてしまう。
ふわふわめまいがする。
頚椎症性神経根症になり腕や手のしびれがある。
頚椎症性脊髄症で手術を勧められて困った。
リハビリのストレッチは何がお勧め?

頚椎症とは

自分で治す頸椎症 洋泉社刊 竹谷内康修著

頚椎や周囲の組織に異常があり、首が痛む、首が凝るなどの症状が起きた場合を頚椎症と呼びます。

頚椎症は、頚部脊椎症や変形性頚椎症というほぼ同じ使い方をする病名もあります。
一般に症状が首の周囲だけの場合は単に頚椎症といいます。

一方、頚椎を通る神経が圧迫されて、手足にしびれなどが出ると、頚椎症のなかでも特に頚椎症性神経根症や頚椎症性脊髄症という細かな診断名がつけられます。

詳しくは後述します。

院長の著書「自分で治す!頸椎症」(洋泉社刊)で頚椎症とは、および治療法を詳しく解説しています。

参考文献:日本脊髄外科学会 頚椎症(頚部脊椎症)

 

頚椎症の症状

頚椎症は首の痛み以外にも様々な症状を引き起こします。首の張り、違和感、重苦感、後頭下部の痛み、のどの張り、違和感、肩こり、肩の痛み、肩甲骨付近の痛み、背中の痛み、頭痛、めまいなどの多彩な症状を示します。
後述する頚椎症性神経根症では、首の痛み、肩の痛み、腕の痛みとしびれ、手のしびれが主な症状です。頚椎症性脊髄症では、腕のしびれ、手のしびれに始まり、進行すると、足のしびれ、ボタンを上手くはめられない、お箸を使いにくい、字が書きにくい、歩くと足がつっぱる、足に力が入らないといった症状や、さらに頻尿、残尿感、便秘などの膀胱直腸障害の症状も出ます。

頚椎症の原因

頚椎症の原因は、医学的には加齢変化とされ、中高年の病気と考えられてきました。しかし、最近では10代や20代で首が痛くなる人も珍しくありません。つまり頚椎症は単なる加齢変化だけで起きるのではないのです。
近年、パソコンやスマートフォンなどの普及により、猫背やうつむいた悪い姿勢を長時間続けることが多くなりました。悪い姿勢では、4~5キロもある重たい頭を支えるために、頚椎には強い負荷がかかり続けます。その負荷に耐え切れず、首に痛みなどの症状が現れるというのが頚椎症の原因です。

頚椎症になりやすい年齢は?

首の痛みが主要な症状の頚椎症は、10代から80代まで幅広い年齢層で発症します。ただ、年代により主な原因が異なります。10代、20代から働き盛りの40代、50代までは、仕事、勉強、生活での様々なストレスと不良姿勢が二大原因となります。仕事から引退した60代以降の方は、ストレスよりも、長年の不良姿勢による影響が大きくなります。つまり、猫背となり、頭が前に突き出た姿勢に固定化され、首への負担が常に増した状態になっていることが主原因になります。

参考文献:Mayo clinic Cervical spondylosis

頚椎症の診断のための検査

診察

診察で頚椎症に対して行う検査には、痛い所などを調べる触診、首を動かす関節可動域検査、頚椎で神経が押されているかを確認するSpurling test(スパーリングテスト)、Jackon test(ジャクソンテスト)などがあります。

画像検査

レントゲン検査

病院の整形外科を受診した際に、頚椎症で最も一般的に行われる画像検査はレントゲンです。頚椎症でレントゲン上に見られる変化は、椎骨の変形、骨棘(骨のとげ)、椎骨同士の隙間が狭くなる(椎間板がつぶれている)、神経が通る脊柱管や椎間孔が狭くなっているなどです。また、健康な頚椎にあるゆるやかな前に凸のカーブが無くなって直線化するストレートネックもよくみられます。

MRI検査

MRIは断層撮影なので、レントゲンには映らない神経、椎間板、靭帯を見ることができます。手足にしびれが出るなど、神経の圧迫があると疑われた時にMRIを行います。頚椎症性神経根症や頚椎症性脊髄症でよく見られる所見は、椎間板の膨隆、靭帯の肥厚、脊柱管や椎間孔の狭小化、脊髄や神経根の圧迫などです。

画像検査の有用性と限界

頚椎症性神経根症や頚椎症性脊髄症では、MRIで神経の圧迫部位が分かるので、MRIは有用な検査といえます。
その一方、頚椎症で行われているレントゲン検査では、意外にも、どこが症状の原因かは全く分かりません。たとえばレントゲンで骨棘が見られても、骨棘が痛みを起こしているのかどうかは画像で判別できません。そのためレントゲンで痛みの原因場所を特定できることは、ほぼありません。従って頚椎症の診断上、レントゲンは必要な検査ではありません。

頚椎症性神経根症とは

頚椎症性神経根症とは、頚椎の変形、椎間板の膨隆、関節の肥厚などによって、脊髄から枝分かれして腕に向かう神経の「神経根」という部分が圧迫されて症状が起きた病態を指します。主に腕の痛み、しびれ、手指のしびれ、肩の痛み、肩甲骨周囲の痛みを起こします。多くは左右一側性に症状が起きます。悪化すると、手や腕の脱力感、握力低下、腕の筋肉の萎縮も生じます。大半の頚椎症性神経根症では、顔を上へ向けると症状が悪化します。また、仰向けで寝るとたいてい症状が悪化します。 軽症の人は消炎鎮痛薬の内服で症状が楽になりますが、薬が効かない場合は数か月から1年以上わずらい、睡眠や仕事に支障を来すことがあります。当院では頚椎症性神経根症に対し、院長オリジナルの神経除圧治療を行い、ほとんどの方が改善しています。

頚椎症性脊髄症とは

頚椎症性脊髄症とは、頚椎の変形、椎間板の膨隆、関節の肥厚などによって、脊柱管内で脊髄が圧迫されて症状が起きた病態を指します。初期症状は、手や足の末端、つまり指先にしびれが生じます。はじめは片側にしびれが出ますが、やがて両方の手や足に症状が広がります。進行すると、字を書く、ボタンをはめる、箸を使うなど手の細かい作業に支障を来します。また、徐々に手や足の力が入りにくくなります。さらに、歩行時に足が突っ張るといった症状や、頻尿、残尿、便秘などの膀胱直腸障害も出現します。 頚椎症性脊髄症が進行してしまうと手術が必要となります。初期であれば、いかにそこで進行を食い止め、手術にならないようにするかが重要になります。

【関連ページ】

頚椎症性神経根症
頚椎症性脊髄症

 

頚椎症のリハビリなどよる治し方

頚椎症のストレッチ体操

頚椎症は、首の周りの筋肉が収縮し、頚椎の関節や椎間板が圧迫されて痛みが出ます。そのため頚椎症を治す方法として、筋肉を伸ばすストレッチ体操がとても有効です。

前に曲げると首が痛い人のストレッチ体操

首を曲げると痛い場合、特に首の後ろ側の筋肉が凝って固まってしまっています。そこで、首の後ろ側の筋肉を伸ばすストレッチ体操をすると効果があります。上部僧帽筋や、肩甲挙筋が凝っているのでストレッチします。ただ、首の後ろ側の筋肉を伸ばそうとすると、痛みが出やすいので、真正面に曲げるのではなく、斜め前にやさしく曲げるくらいがよいでしょう。片側ずつストレッチします。20~30秒位ストレッチし、3セット繰り返します。

後ろに反らすと首が痛い人のストレッチ体操

首を反らす、あるいは上を見上げると首が痛い人は、首の前側にある斜角筋が固く凝っています。真上を向くようにストレッチすると首が痛くなるので、斜め後ろにやさしく倒し、首の前の片側の筋肉を伸ばします。その際、筋肉を伸ばす側の鎖骨を片手で押し下げるとしっかりとしたストレッチ体操になります。ストレッチはだいたい20から30秒くらいで、3セット行いましょう。

頚椎症に良い枕と正しい枕選び

頚椎症で枕が合わない

一般的な枕の高さは6~7センチですが、首に症状の無い人は、自分が楽に感じる高さの枕を使って問題はありません。

しかし、首が痛いなど何らかの症状がある頚椎症の患者さんは、正しい枕選びをしないと、痛みがよくならないばかりか、悪化してしまうこともあります。

頚椎症に良い枕の選び方をお伝えしましょう。

 

後ろに反らすと首が痛い頚椎症の人へお勧めの枕の高さ

上を向く、首を後ろに反らすと首が痛い人は、高めの枕を選ぶと楽になります。もし低い枕を使ってしまうと、寝ている間に首を反らすようなことになり、痛みが出やすくなってしまいます。普段使い慣れている枕があれば、折りたたんだタオルを下に敷くなどして、高さを上げるとよいでしょう。

前に曲げると首が痛い頚椎症の人へお勧めの枕の高さ

前に曲げると首が痛い人は、低めの枕を選ぶと痛みが楽になります。高い枕を使うと、首を前に曲げた形になりますので、当然痛みが出やすくなります。折りたたんだバスタオルなどで、薄い枕を作るのがよいでしょう。

どんな形の枕がよい?首枕はお勧め?

円柱状のいわゆる首枕というものがあります。首枕は、頭を載せるというより、首の下に敷きますので、首が反った形になります。そのため、後ろに反らすと首が痛い人は、痛みがひどくなりやすいので、首枕は使わないほうがよいでしょう。円柱状の首枕に似ていて、首に当たる部分だけ隆起している枕もありますが、それはやはり後ろに反らすと首が痛い人は痛みが強くなりやすいので、お勧めできません。
枕は普通の平たいものを選び、高さをタオルなどで調整すれば十分に良い枕になります。

頚椎症をマッサージで治せる?

首の凝っている場所をやさしく指先でマッサージすれば、凝りに関しては楽になるでしょう。ただ、首の痛みがある場合は、痛みを無くすことまでは難しいものです。痛みが出ている頚椎症の場合、首の深部にある筋肉が固まっています。マッサージで表面の筋肉は緩められても、深部の筋肉を緩めることは困難なのです。

頚椎症に効く痛み止めなどの薬

頚椎症で首が痛い人に病院で最も処方されている痛み止めの薬は、ロキソニンです。ロキソニンはドラッグストアなど薬局でも買えるので、病院に行かれない時には自分で買って飲むのもよいでしょう。病院で処方されるそのほかの痛み止めは、ボルタレン、セレコックスなどがあります。また、筋肉を緩める薬(筋弛緩薬)もよく整形外科で出されます。リンラキサー、ミオナール、テルネリンといった薬です。

首が痛い頚椎症にカラーの装着

頚椎カラー

頚椎カラーは、首を動かすと痛い頚椎症の人が、首の動きを抑える目的で装着します。

カラーを着けると安心感があり、楽になる人もいます。

ただ、現代医学的には関節痛や腰痛などは、痛みがひどくならない程度に動かしながら治していくという考えが主流になっています。

固定して動かさないで治すという考えが元にある頚椎カラーは古い時代の治療法といえます。

 

頚椎症の当院でのリハビリ治療法

当院は、頚椎症のリハビリ治療を専門的に行っているクリニックです。薬を使わず、様々なリハビリ技術を駆使して、頚椎や周囲の筋肉の状態を改善し、根本から症状を改善する治療を行っています。