寝違えとは、起床時に首の痛みや肩、肩甲骨、背中、脇の下等にこれまでに無かった痛みが生じることです。

首を動かしたときの痛みが強く、酷い寝違えは痛みで首が固まったように動かせなくなり、何日も痛みが長引くこともあります。また、痛くて起き上がれないこともあります。

 

首の寝違えは、朝起きて痛みに気付くため、悪い寝方で首を違えて痛みが起こったと考え、「寝違え」と言われるようになったのだと思われます。

しかし、医学的には寝違えという病名はなく、英語でも寝違えという単語はありません。

寝違えたような痛みは、実は、日中起きている間にも急に発症するので、寝違えたときの寝方がただ一つの原因ではありません。

寝違いは医学的には、首の痛みを生じる頚椎症という病気が、朝起きた時に発症したもので、それを「寝違えた」と一般の方が言っているのです。

寝違える原因

首の状態がもともと悪いと寝違えに

寝違える原因とは一体何でしょう?寝方が悪かったから、枕が合わないからと考えるかもしれません。しかし、それらは首の痛みが出るきっかけに過ぎず、もともと首の状態が悪くなっていたから寝違えたのです。

寝違えを発症する人の多くは、もともと首こりや肩こりがあります。首こりや肩こりは、デスクワークやスマホ操作時の不良姿勢とストレスが主な原因です。

首こりや肩こりは、首肩の筋肉が異常に収縮し続けている状態です。首肩の筋肉が収縮すると、首の骨同士にギュッと圧迫する力が加わることになります。つまり、首や肩こりは、頚椎の関節や椎間板などに過剰な負担がかかり続けている状態なのです。

首こりや肩こりが原因で、頚椎に負担が蓄積していると、寝る姿勢が悪い、枕が合わないなど、ちょっとしたことがきっかけになり、首の痛みが発症します。悪い寝相や合わない枕はきっかけに過ぎないため、頚首の状態がもともと良くないことが寝違えの根本原因と考えられます。寝違えを繰り返す人は、普段は症状がなくても頚椎の状態が悪い可能性が高いのです。

子供も寝違える時代に

寝違えは、忙しく働いている人に特に多くみられます。逆にリタイヤした高齢者には多くありません。最近は子供も寝違えるようになりました。

スマホやタブレット、携帯のゲーム機を長時間使っていることや、悪い姿勢で受験勉強をすること、さらに受験のストレスも子供の寝違えの原因になっていると思われます。

背中の寝違え

朝、目を覚ましたら背中が痛くて動かせない、動かすと背中に激痛が走る、背中が固まってしまった、背中が痛くて起き上がれないなどという寝違えの背中版のような状態もあります。特に肩甲骨のあたりの背中に痛みが起こることが多いです。

背中の痛みを起こす寝違えは、首の寝違えとほぼ同じメカニズムで発症し、場所が少し異なるだけです。頚椎症ではなく、胸椎症という病名になります。背中の寝違えは、ぎっくり腰ならぬ、ぎっくり背中とも言える状態です。

寝違えを起こす病気

頚椎症

頚椎症とは、頚椎や椎間板、椎間関節などが傷み、首に痛みなどの症状を生じる病気のことを指します。寝違えの医学的な病名は頚椎症です。

頚椎症にはいくつかの種類があります。頚椎に加齢による変形がある場合は変形性頚椎症といいます。

頚椎の変形などで神経が圧迫され、腕や手に痛み・しびれを生じる頚椎症性神経根症という病気も頚椎症の一種です。頚椎の中を通る脊髄が圧迫されて、手足のしびれ、脱力などの重い症状を伴う頚椎症性脊髄症という病気もあります。

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頚椎椎間板ヘルニア

頚椎は7個の椎骨からできていますが、椎骨の間には椎間板と呼ばれる円盤状の軟骨があります。軟骨から成る椎間板は頭の重さを椎骨とともに支えています。

加齢による椎間板の劣化、姿勢の悪さによる椎間板への負荷の増加などによって、椎間板が変形、膨隆した状態を頚椎椎間板ヘルニアといいます。

椎間板が変形、膨隆する過程で炎症が生じると、頚椎椎間板ヘルニアは首に強い痛みを生じることがあります。また、椎間板が膨隆し、頚椎から出て腕に伸びる神経を圧迫すると、首から腕や手にかけて痛み、しびれを引き起こします。

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ストレートネック

正常な頚椎(首の骨)は緩やかに前にカーブしています。

頚椎の下部は前に向かってカーブし、上部は後ろへ向かってカーブすることで、頭は結局、体の真上に位置しています。頭が体の真上にあるので、首や肩の筋肉は必要最小限の力で頭の重さを支えることができます。

悪い姿勢では、頭が前に突き出るので、頚椎の上部の後ろへ向かうカーブが無くなります。

すると、頚椎の上部も下部も前へ向かうことになり、頚椎のカーブが失われ、真っ直ぐになります。その状態をストレートネックといいます。

ストレートネックは長時間に亘って悪い姿勢でパソコン作業をすることや、スマートフォンを見る姿勢によっても増加しています。

ストレートネックの状態では、頭の位置が体の真上ではなくて、体よりも斜め前方に位置してしまい、首が頭を支えるのに大きな力が必要になってしまいます。

頭を支える強い力が首の関節や椎間板に負担をかけ続けると、ストレートネックはやがて慢性的な肩こりや首の痛み、寝違えに悩まされやすくなります。

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整体による寝違えの治療法

整体で治療すると当院では、関節、椎間板、神経など、痛みの原因がどこにあるのかを細かく診察します。寝違えでは、肩こりがベースにあることが多く、首肩の筋肉が固くなっています。筋肉の固さを取り除く治療をまず行い、整体の手技である関節の矯正をすることで、頚椎の動きを改善します。つまり、首の状態を改善する治療を行って寝違えの痛みを取り除きます。

さらに、首の痛みを取るだけでなく、寝違えの元になった根本原因を探ります。首の状態が悪い場合、多くは首だけでなく背中や腰にも問題が潜んでいます。背中や腰を含む背骨を正常に戻すことで、首の負担は減少し、寝違えだけでなく様々な病気を予防することができます。

また、姿勢などの生活習慣の見直しも重要になります。寝違えになると寝方や枕が悪いのではないか、と考えてしまいますが、実は仕事中の姿勢や家での過ごし方など、日常生活の中に首が悪くなる本当の理由が潜んでいます。当院では痛みの治療だけでなく予防ができるように、生活習慣のアドバイスをし、ストレッチなどの体操によるセルフケアも指導しています。

寝違えが治らない、長引く、あるいは痛みがひどい場合は、首の状態がそれだけ悪化しているということを表しています。整体のプロの治療を受けることをお勧めします。

寝違えの病院の何科に行く?何をしてくれる?

寝違えたら、病院の何科へ行けばよいかと迷うかもしれません。寝違えの治療経験が最も豊富なのは間違いなく整形外科です。

多くの場合、病院の整形外科に行くとレントゲンを撮って頚椎の状態を確認します。頚椎の変形がある、頚椎同士の間隔が狭くなっている、頚椎の配列が真っ直ぐになっているストレートネックだ、などと説明されるでしょう。余談ですが、レントゲンを撮ったからといって治療法が変わることはほとんどありません。ですから、レントゲンを撮らなくてもよいのです。

整形外科では一般にロキソニンなどの鎮痛剤が処方され、また、湿布も同時に出されることが多いです。ミオナールなどの筋弛緩薬も処方されることがあります。痛みが酷い場合や、首が回らないときに、頚椎カラーを処方される場合もあります。寝違えに対してはあまりリハビリを行いません。例えば牽引をすると、かえって痛みが悪化しかねないからです。いずれも対症療法ですので、痛みがよくなっても首の状態が改善するわけではありません。

寝違えて首が痛い人の自分でできる治し方

寝違えて首が痛い人は当院で整体治療を受けるか、整形外科の病院へ行ければいいのですが、なかなかそうもいかないですよね。そこで、自分でできる解消法をお伝えしましょう。

激しい首の痛みには、アイスパックなどで冷やすといいでしょう。痛みの刺激の伝達が弱まって楽になることがあります。逆にお風呂で体を温めるのも一計です。固まった首の筋肉を緩める効果があります。お風呂のお湯はぬるめのほうが筋肉は緩まりやすいでしょう。

とにかく痛みを治すことを優先したい人は、市販の痛み止めのロキソニンを飲むのもよいでしょう。ただし胃が弱い人にはお勧めしません。鎮痛剤でアセトアミノフェンが入っている市販薬も効果が期待できます。湿布も立派な痛み止め・鎮痛剤の成分が入った薬ですので、湿布を首に貼るのもよいでしょう。温湿布でも冷湿布でも効果に大きな差は無いのでどちらでも構いません。

自分で首をマッサージするのはどうかと思う人がいるでしょうけれど、自分でマッサージをしても、お腹が痛い時にお腹をさる位の効果しか得られないでしょう。ストレッチは、寝違えのような急性の痛みがあるときには行えません。寝違えの予防にストレッチは有効です。もちろん、筋トレなどの運動は寝違えの急性期にお勧めできません。

寝違えに寝違えない寝方があるのでしょうか。それには枕の工夫が有効です。もし低めの枕を使っているようなら、枕を今より若干高くしてみるとよいでしょう。首の部分が盛り上がり、首が反るような枕はあまりお勧めしません。

自分で寝違えを治す方法をお伝えしましたが、すべての人に有効な訳ではありませんし、なかには合わない人もいるかもしれませんのでご注意下さい。また、あなたの首の痛みが寝違え以外の病気から生じている可能性もあります。きちんと医師の診察を受けることを強くお勧めします。