【執筆者】整形外科医 竹谷内 康修 整形外科医、竹谷内康修

慈恵医大卒。福島県立医大整形外科に入局。米国のナショナル健康科学大学でリハビリ技術を習得。2007年東京駅の近くで開業。著書・マスコミ掲載多数。

最終更新日:2019年12月13日 公開日:2019年12月13日

むちうちとは、主に交通事故の衝撃によって首へ過剰な負担がかかり、首の痛みや腕のしびれ、頭痛、めまい、吐気などの様々な症状が起きた状態のことをいいます。むちうちは、医学的には頚椎捻挫や外傷性頚部症候群などと呼びますが、一般にはむち打ち症(ムチ打ち症、鞭打ち症)と呼ばれています。 むちうちは、整形外科での一般的な治療では治りにくいことが多く、数か月通院しても後遺症が残ってしまうこともあります。できるだけ早く関節や筋肉などを調整する根本的な治療を受けることが大切です。

むちうちの症状

むちうちでは、首の痛みだけでなく、様々な症状が出ます。例えば首、肩、背中の張り感、肩こり、頭痛、腰痛などに加え、重症の人だと腕の痛みや手のしびれなども出ます。むちうちで特徴的なのは、めまい、吐き気、耳鳴りなど痛み以外の不快な症状が出ることです。 また、事故の当日には症状をあまり感じなかったものの、後日になって症状が出ることもあります。

むちうちの原因

むちうちの一番の原因は交通事故です。特に自動車乗車中に、後方から追突されるケースです。不意に追突されると身構える時間が無いため、首をひどく損傷して重症化します。次に意外と多いむちうちの原因は、歩行中に自動車や自転車にぶつけられて受傷するケースです。突き飛ばされて転倒するので、首だけでなく腰や手足にも怪我をします。 交通事故以外のむちうちの原因は、サッカーやラグビー、柔道などのスポーツです。不意にタックルされたり、投げられたりしてむちうち症になります。 むちうちで首が傷む原因は、首は細くて長い上に、5キロもある重たい頭を支えていることにあります。追突などで振り回された頭は、細長い首に過大な負荷を与え、頚椎や周囲の筋肉を傷つけます。

むちうちの検査

むちうちの検査では、頚椎の関節や筋肉の状態、神経の損傷を把握することが大切です。

当院では、頚椎や周囲の筋肉の圧痛、硬さ、可動性などを触診で把握し、治療に役立てます。また、神経に損傷があるかを調べる診察も行います。 むちうちの検査でまず病院で行われるのはレントゲンです。レントゲンでは骨の状態がわかりますが、重大事故でない限り、むちうちによる新たな骨の異常が見つかることはありません。つまり、骨の異常の無い大半のむちうち症では、レントゲンは役に立たない検査なのです。たとえレントゲンよりはるかに精密なMRI検査も、骨折や神経損傷が無い限り、むちうちの診断に役立つことはありません。むちうちでは、画像検査より、触診等の詳しい体の診察が重要なのです。

 

むちうちの治療法

むちうちの治療で最も大切なのは、傷んだ関節や筋肉を素早く回復させることです。むちうちは後遺症を残しやすく、早く治さければ慢性化して治りにくい状態になります。

当院では、むちうちで傷めた頚椎の関節を調整したり、筋肉の回復を早める治療を行ったりします。

当院のリハビリ治療では、傷めた部位を直接治して症状を取り除きます。

当院でむちうちの患者様を多数治療してきた経験から言うと、むちうちの症状が長引く人は、その多くが以前に肩こりや首の痛み、寝違えなど首の症状を患っています。交通事故の直前には何も症状が無かったとしても、長引く方たちは事故前から首が不健康な状態にあったと考えられます。不健康な首にむちうちが重なって、病態が複雑化、重症化し、むちうち症が非常に治りにくくなるのです。そのような方々には、むちうち症だけを治すというより、以前から悪くなっている首の状態を把握し、それも含めて根本的に治すことが必要になります。

病院での一般的なむちうち症の治療は、痛み止め(消炎鎮痛薬)の内服や湿布、頚椎カラーの装着、頚椎牽引、電気治療などの対症療法が行われます。病院ではレントゲンなどの画像検査を重視して、むちうち症に必須の入念な触診などの診察はあまり行っていません。つまり症状の原因を特定せずに、対症療法を行っていることになります。ですから治療の効果も限定的で、症状が長引き、後遺症が残ることになってしまうのです。

 

むちうちの後遺症

むちうちは、病院で数か月間治療を受けても十分に効果が上がらず、首の痛み、首や肩の張り、腕や手のしびれ、頭痛、めまいなどが後遺症として残ってしまうことがあります。数年経っても症状が残っていることも少なくありません。先ほど述べましたように、事故後のなるべく早い時期から関節の調整などの根本的な治療を受けて首の状態を改善させることが大切です。