肩こりの辛い症状

肩こりには、頭痛、吐き気、めまいなどを伴うことが多く、慢性化すれば凝りが痛く感じられ、とても辛いものです。肩こりで仕事に集中できなくなることもあります。
肩こりは、デスクワークなどで長時間にわたって同じ姿勢や悪い姿勢を続けるとひどくなります。また、ストレスが多いと体に無意識に力が入り、肩こりが悪化します。
肩こりは生活の質を下げる辛い症状です。放置せずに解消に向けてしっかり取り組むことをお勧めします。

参考文献:勤労者の肩こり症状に関連する因子の検討

肩こりの治療法と予防

肩こりの当院の治療は、肩のこりなどを取る筋肉への治療、姿勢を改善する背骨の治療、肩こりの解消と予防を兼ねたセルフケアの3つの柱から成ります。

凝りを取る筋肉への治療

肩こりで実際に凝っている筋肉は、症状のある「肩」だけではありません。背中や肩甲骨部、前側の胸や喉など多くの部位にこりがあります。重度の肩こりの人は、首、肩、胸周囲の筋肉が鎧のように固まっています。そのため肩こりの患者さんには、それら全部の筋肉を緩める治療をしていきます。当院では様々な手で行うリハビリ治療を導入していて、効果を発揮しています。

姿勢を改善する背骨の治療

肩こりのある多くの人は、背中の丸まった猫背の姿勢で背骨が固まっています。たとえ筋肉を緩める治療をしても、姿勢が悪いと再び筋肉は凝ってしまいます。そのため猫背となっている背骨を調整する必要があります。そこで当院では、手で瞬間的に関節を動かすマニピュレーションを頚椎や胸椎に行っています。それは姿勢の改善にはとても有効な治療法です。

肩こりの解消と予防を兼ねたセルフケア

専門的な治療に加え、ストレッチや姿勢の改善などのセルフケアが肩こりの解消には必要になります。当院では、院長の著書で紹介しているストレッチや正しい姿勢の取り方などを丁寧にご指導しています。
また、肩こりの原因としてストレスがあります。ストレスは体の筋肉を緊張させるため、ストレスの把握とコントロールが肩こりのセルフケアとして重要になります。当院では詳しく生活状況をお伺いし、どのようなストレスが生活に隠れているかを見出した上で、ストレスをコントロールする方法をお伝えしています。

参考文献:肩こりの予防と治療

症例1 20代女性 肩こりと頭痛

症状

2年前より首から肩にかけて慢性的なこり感があり、マッサージを受けていたが効果は一時的だった。特に最近仕事が忙しくなってパソコンを使う時間が長くなり、肩こりが辛くなってきた。 時々、肩こりに加えて頭痛もある。

体の状態

あごを前に突き出した姿勢をしていて、首や肩の筋肉が頭を支えるために常に使われていた。特に上部僧帽筋(肩甲骨の上側の筋肉)が強い緊張状態でこりの原因になっていた。

治療

姿勢の改善のために、頚椎(首の骨)と胸椎(背中の骨)の関節を手で調整した。2週間で3回治療をして肩こりはほぼ改善した。仕事の合間に首や肩の簡単なエクササイズを行うことで再発を防いでいる。

コメント

元々の姿勢の悪さにデスクワークの負担が加わったことで症状がでていましたが、肩こりと頭痛も解消して仕事の効率も上がったとご本人は喜んでいらっしゃいました。首・肩こりはできるだけ軽いうちに正しい治療を受けて治すことが大切です。慢性化すると痛みやシビレなどの症状が出て悪化していくことがあります。

症例2 30代女性 肩こり、首こりと息苦しさ

症状

20代後半より仕事のパソコン作業で肩こりと首こりがひどくなってしまった。たまに肩こりで気持ち悪いこともある。職場ではストレスも強く、息苦しさも感じるようになった。

体の状態

前かがみ姿勢のまま胸椎(肩甲骨の間の背骨)が固まり、肩甲骨上部からノドの前面にかけて筋肉が過剰に緊張していた。呼吸に必要な肋間筋(肋骨の間の筋肉)も硬直し、息苦しさの原因になっていた。

治療

首肩の筋肉を手で緩めるリハビリ治療を行った上で、胸椎を手で調整し猫背姿勢を改善した。また肋骨の可動性を高め、肋間筋を緩める治療をおこなった。計6回(約1カ月)の治療で猫背の改善がみられ、肩こり、首こり、息苦しさがほとんどなくなった。

コメント

胸椎、肋骨の治療と並行してパソコン作業中の座り姿勢を改善して頂きました。デスクワーク由来の症状の場合、作業姿勢の改善は必須となります。また息苦しさは、呼吸の際に胸が広がりにくい状態からきていました。姿勢改善や体操など自身で実践できる取り組みをしっかり指導しました。

症例3 40代男性 肩こり、吐き気、めまい、不眠

症状

20代のころから肩こりがあったが、ここ2~3年で症状が強くなってきた。吐き気やめまいも最近感じるようになった。枕の高さが気になり眠りも浅くなってしまい、疲労感が抜けない

体の状態

頚椎の正常なカーブが失われたストレートネックの状態で、後頭部と首の間の筋肉が強い緊張状態にあり、関節が固まっていた。また腰の正常なカーブも消失してまっすぐになっており、ストレートネックを作る原因になっていた。

治療

後頭部と頚椎の関節と腰椎に対して手で調整を行った。2週間で4回の治療を行い、肩こりと不眠状態が改善され枕の高さも気にならなくなった。 さらに週1回の治療を3か月続けたところ、吐き気やめまいも治まってきた。

コメント

不良姿勢によって背骨のS字カーブが崩れた姿勢になっていることが根本原因でした。症状が改善した後も仕事中や自宅での姿勢に気を付けていただいています。日中に良い姿勢を維持すればストレートネックの原因が解消されていくので、枕をいろいろと取り替える必要はなくなります。