腰部にある5つの椎骨と仙骨の間にある椎間板が傷み、周囲に出っ張ったり、髄核と呼ばれる中身が脱出したりした状態を腰椎椎間板ヘルニアといいます。軟骨でできた椎間板は、加齢現象や、悪い姿勢での持ち上げ動作、繰り返し動作、肥満などで傷んでしまいます。出っ張った椎間板が、腰椎部から足腰へ伸びていく坐骨神経を圧迫したり、髄核に含まれる化学物質が坐骨神経に触れて刺激したりすると、坐骨神経痛という足腰の痛み・しびれを起こします。
腰椎椎間板ヘルニアを発症すると、腰痛や足のしびれ、痛みが現れ、歩行がつらくなります。人によっては座っているだけでも辛くなります。
整形外科での鎮痛薬等による保存療法で、2、3か月で治まることが多いものの、一部の人は長引きます。痛みが激しく日常生活に支障がある人は、手術になることもあります。
腰椎椎間板ヘルニアの治療法
腰椎椎間板ヘルニアの当院の治療は、様々な手で行う技術やリハビリを組み合わせ、治る期間の短縮を目指しています。
腰部の筋緊張を緩和
腰部の筋肉が固く緊張していると、椎間板へ高い圧力がかかり続けてしまい、椎間板の出っ張りが大きくなります。そこで、腰部の筋肉の緊張を和らげる手で行うリハビリ治療を積極的に行います。
腰椎の関節調整
関節を調整する治療の一種である腰椎のマニピュレーションを行い、椎間板にかかる圧力の減少を図ります。
コックス・テクニックで治療
患者さんによっては、コックス・テクニック(flexion-distraction)を用います。この治療法は米国のDr. James M. Coxが広めたためその名にちなんで名づけられました。当院の院長は、米国インディアナ州にあるコックス先生の診療所を訪れ、直接コックス・テクニックを学びました。
治療にはコックス先生が開発した腰椎椎間板ヘルニア用の特殊なコックス・テーブル(写真参照)を用います。
参考文献:Real-time force feedback during flexion-distraction procedure for low back pain: A pilot study
コックス・テクニックの原理
コックス・テクニックの原理は、椎間板ヘルニアが起きている部位(椎間)に牽引をかけ、さらに屈曲することによって、椎間板の内圧を下げて椎間板の突出を抑え、神経へ圧迫を軽減することにあります。
また、側方にも屈曲させて圧迫をさらに減らします。一般的に病院で行われている牽引療法は屈曲を行わないので、両者の原理は大きく異なるといえます。
コックス・テクニックは薬や注射を用いない腰椎椎間板ヘルニアの画期的な治療法です。