腰痛の原因

腰痛を発生させるのは、主に腰椎の椎間板や椎間関節、仙腸関節、筋肉(脊柱起立筋、大殿筋、中殿筋、ハムストリングなど)といった組織です。これらの組織が腰からお尻の辺りに痛みを起こしています。
これらの組織に痛みが生じる原因は、いくつかありますが、二大原因をご説明します。
一つ目は不良姿勢による物理的な負荷です。不良姿勢を続けることや、たとえ良い姿勢でも同じ姿勢を長時間続けてしまうことも、腰の特定の組織に過剰な負荷をかけて、腰痛の原因となります。
二つ目は、ストレスおよびストレスによる疲労です。ストレスが高じたり、続いたりすると体が疲労状態に陥ります。そのような状態の下では、腰の筋肉の凝りひどくなって腰が痛む原因となります。ストレスは、交感神経の働きを高めますが、交感神経は筋肉を収縮させる働きがあり、腰の凝りを生み出し、痛みを発生します。

参考文献:原因不明の腰痛症とうつ病

腰痛の診断法

問診で、腰やお尻のどこの部位が痛いのか、また、どのような姿勢や動作で痛むのかを詳しくお伺いします。その上で、触診や、腰や足を動かす検査、さらには筋力検査など、細かい診察を行い、痛みを発している組織を探り出します。そしてどういった問題が腰に起きているのかを長年の臨床経験を元にして総合的に診断します。
レントゲンやMRIなどの画像検査は、腰痛の診断や治療上、役に立つことは少ないため、当院では、必要と考えられる場合のみ提携施設で撮影します。

腰痛の治療法

腰痛には様々な原因があり、しかも複数の原因が同時に起きます。また、障害を生じやすい場所がいくつもあります。このように複雑な腰痛に対し、単純な治療を行ってもなかなか治りません。
そこで当院では腰痛に対し、多面的、複合的な治療を行っています。治療は主に4つの要素から成ります。4つの要素とは、手で行うリハビリ治療、姿勢の改善、ストレッチ体操などのセルフケア、ストレスの軽減・解消です。

多様な技術を駆使した手で行うリハビリ治療

当院が専門としている手で行うリハビリでは、様々な技術を組み合わせて治療していきます。どこがどのように悪いかを考え、長年の臨床経験により使用する技術を選び、最大限の効果を目指します。
例えば、関節の障害に対しては、関節をポキッとする調整技術だけでなく、関節包内運動というソフトな関節の治療法を使うこともあります。また、筋肉の障害にはカウンターストレインという調整法だったり、トリガーポイント療法であったり、さらにはツボ(経穴)も駆使して治療をします。
院長は、20年に及ぶ臨床経験から、最適な治療法を選択して腰痛の診療に当たっています。

腰痛の解消や予防に必須の姿勢改善

悪い姿勢を続けていると、腰の特定部位に負荷が集中してしまう上、筋肉が凝り固まり、また背骨も固まり、悪い姿勢が固定化します。姿勢を改善すると、腰痛が解消するだけでなく、腰を良い状態に保つこともできるので、腰痛予防にもなります。

姿勢とひと口に言っても、立ち姿勢、座り姿勢、寝姿勢の三種類があります。その中で最も大切なのは座り姿勢です。なぜなら姿勢が最も悪くなりやすいからです。当院では患者さんの普段の座り姿勢を観察し、どのように改善すべきか丁寧に指導しています。最近は、スマホを長時間使用して、姿勢が悪い状態で固定化している人も多く、スマホ使用時の姿勢もご指導致します。

ストレッチ体操などのセルフケア指導

腰痛がある人は、凝り固まった筋肉が腰のどこかにあるものです。凝り固まった腰の筋肉は、痛みを発することもありますし、また腰を支える働きが弱く、腰椎に障害を起こしやすくなっています。そこで、セルフケアとして最適な体操を指導し、早期に凝りを解消するよう目指しています。腰の凝っている筋肉は、たいてい慢性化していて、通常のストレッチでは解消しにくくなっています。竹谷内医院では特に効果的なリハビリ用の体操をお伝えしています。
腰痛を詳しく解説しているページでは、腰痛のおすすめのストレッチ体操をご紹介しています。ぜひご参照下さい。

ストレスの軽減、解消で腰痛を治す

前述のように、腰痛の主な原因の一つがストレスです。そしてストレスを引き起こす原因となるものをストレッサー(ストレス源)と言います。ストレッサーには多様な種類のものがあります。

例えば、睡眠不足もストレッサーの一つで、身体的なストレスとなります。仕事や家事、子育てなどで日々追い立てられるように忙しく生活していることもストレスになります。職場の上司や同僚、あるいは家族と折り合いが悪いことは、心理的なストレッサーとなります。不況で会社の行き先が怪しくなるなど社会環境の変化もストレッサーの一つといえます。さらに、急な気温・気圧の変化、天候の変化、暑さ寒さもストレッサーです。

ストレスは、自律神経の変調を来し、また、ホルモンのバランスも崩し腰痛の原因となります。当院では、患者さんのストレッサーがどこにあるのかを探り、そしてストレスの軽減、解消を目指して様々なアドバイスをしています。

参考文献:介護職員の腰痛とストレス,そして信頼感の関連性

症例1 30代男性 デスクワークで生じる腰痛

症状

20代よりパソコンを使った仕事を主にしているが、5年前より長時間座った後に腰痛を感じるようになった。ここ1年で腰痛を感じる回数が増えてきており、朝起きた後や通勤中の電車で立っているときも腰が辛くなってきた。

体の状態

通常は前にカーブしている腰椎(腰の骨)が若干後ろにカーブしており、腰への負担が増大していた。座っている時の姿勢が悪く腰を丸めてしまい、その状態で背骨の関節が固まってしまっていた。立ち上がった後も腰の後ろカーブのクセがついているため、正常な前カーブが作れない状態になっていた。

治療

腰椎の前カーブができるように、背骨の関節を手で調整した。腸腰筋が固まっていたため、筋肉を手でゆるめる操作をおこなった。また、腸腰筋のストレッチも指導した。3回(約2週間)の治療で腰のカーブが改善し、立っている時の痛みが軽減した。座り姿勢の悪いクセがあったため、正しい座り方のアドバイスを行い、長時間のデスクワークによる腰痛を予防している。

コメント

座り姿勢の問題による腰痛は、最近非常に多くみられます。立っている時間よりも座っている時間の方が長い現代の生活では、ストレッチなどの体操や運動を行うことも大切ですが、座っている姿勢を改善することがより重要になります。当院で行っている手で関節を調整する治療により固まってしまった関節の動きを正常化し、腰への負担が少ない正しい姿勢ができるようにした上で、正しい座り姿勢をとるように努めると、腰痛の改善や予防に効果的です。まだ若いうちの20代、30代から腰への負担をかけないようにすると、中年以降の腰痛や関節の変形を予防することにつながります。

腰痛を予防する椅子の座り方

座っている時は立っている時の1.4倍のストレスが腰にかかっています。悪い姿勢を続けると更に多くの負担がかかりますので、特にデスクワークの方は正しい座り方を覚えましょう。
まずお尻は背もたれに密着するように座ります。背筋を伸ばし、軽く顎を引きます。そして背もたれにしっかりよりかかります。
両足はきちんと床についた状態にし、椅子が高すぎる場合は、足元に台を置くか座面を下げるかして調整しましょう。浅く座りすぎたり、足を組んだりすると姿勢が崩れる原因になりますので、極力避けましょう。
座りっぱなしや同じ姿勢を続けるのも腰に負担をかけます。30分から1時間に1回は立ち上がって座り直すか、歩き回りましょう。

症例2 50代男性 ゴルフの後に悪化した腰痛

症状

ゴルフの練習中に腰から殿部に違和感を覚えた。その日は大丈夫であったが、翌日起き上がれない程の腰痛になってしまった。腰を前に曲げたりくしゃみをしたりすると痛みが激しくなる。

体の状態

腰椎の動きが悪くなっており、腰を支える腸腰筋(お腹の奥の筋肉)と背筋(背中側の筋肉)が異常に硬く、バランスを崩している状態。

治療

動きの悪くなった腰椎の調整をおこなうことで、腸腰筋と背筋の過剰な緊張が改善された。初回の治療で腰をかがめてくつ下がはける程度に改善し、3回目の治療で腰痛はほぼ解消された。

コメント

この方のように腰を屈めたり捻ったりした時に違和感があったら、ぎっくり腰寸前の状態である可能性があります。
この時、背中~腰への強いマッサージを行うと腰痛が悪化することがあるので注意が必要です。まずは当院で適切な検査と治療を受けることをお勧めします。

ゴルフが腰痛の原因になる?

ゴルフをすると腰痛がひどくなると言って当院へ多くの方が来院されます。それではなぜゴルフをすると腰痛になりやすいのでしょうか。

まず、スウィングをする時に腰椎が過度な軸回旋を必要とするためです。それだけではなく、ボールを拾う時にも中腰姿勢になり、腰に負担がかかります。

もちろん他のスポーツよりも高齢者のプレーヤーが多いという事も関係しているとは思いますが、どうしてもゴルフは腰を痛めやすいのです。

正しいフォームができていない場合、更に腰に負担がかかりますが、正しくプレイしていても日常生活に比べ体をひねる動きが大きいため、腰への負担は避けられません。

その結果、腰のトラブルが生じやすくなります。

少しでも腰を痛めないためには、日頃から腰を支える腸腰筋や背筋をストレッチし、ゴルフの前にも準備運動をしっかりして緊張を取る事が大切です。

予防に努めても腰痛になってしまった場合は、当院を利用し体のバランスを整える事が腰痛を治す近道です。

症例3 40代女性 10年以上繰り返す慢性の腰痛

症状

10年前、引っ越しをする際に掃除をしている時に腰が痛くなり、整形外科で湿布をもらって改善した。

それ以来、疲れると腰痛が起こるようになってしまった。

心配になり、整形外科でレントゲンを撮ってもらったが、骨には異常がないと言われた。3か月前に家事を行っている時に、再び腰やお尻の痛みが出て、一向によくならないため来院した。

体の状態

座り姿勢を見ると、腰が丸まって猫背になっていた。両肩が前に出ていて、典型的な不良姿勢であった。

腰からお尻にかけての筋肉が硬くなっていて、首や肩の筋肉も凝っていた。触診で腰椎の一つ一つの骨の動きを調べると、かなり硬くなっていた。

不良姿勢で腰への負担が大きくなっていることと、筋肉の持続的な緊張により、背骨に過度な負担がかかっていることが腰痛の原因になっていると考えられた。

治療

凝り固まった筋肉を緩める治療を行った上で、動きの悪くなっている腰や背中の背骨へポキッという関節の調整を実施した。

筋肉が柔らかくなり、背骨の動きが回復することで、猫背だった姿勢がよくなった。

2週間で3回治療したところ、腰痛は半減し、6回の治療でほぼ症状が消失した。現在は1~2カ月に1回のメンテナンス治療で腰痛を予防できている。

コメント

この患者さんの腰痛の原因は、姿勢の悪さに加え、筋肉が緊張しやすい体質にありました。

緊張しやすい体質の人は、筋肉が縮んで固まり、凝りを起こしやすいだけでなく、背骨を押しつぶす力が働いて、背骨にある関節も傷めやすくなっています。

正しい姿勢をとるように気を付け、筋肉を緩めるストレッチなどのセルフケアを習慣にするとよいでしょう。

当院の治療は、痛みがあるときにも有効ですが、筋肉や関節を健康に保つメンテナンスにも役立ちます。