妊婦の腰痛とは

妊娠すると、お腹が大きく重くなり、腰にかかる負担が急速に増えます。もともと腰が健康でないと、重みに耐えきれず腰痛を発症します。また、妊婦さんは出産に向けて骨盤の靭帯がゆるむため、骨盤が不安定になり痛みを起こしやすくなります。さらに妊婦さんは出産や育児の不安を始めとしたストレスを抱えやすく、ストレスによって腰が凝り固まって腰痛の原因となることがあります。

参考文献:腰痛を呈する妊婦へ理学療法を実施した際の介入前後と産後1ヶ月までの経時的な身体機能変化

妊婦でも安全な腰痛治療

痛み止めなどの薬はお腹にいる赤ちゃんに悪影響が出る恐れも否定できません。また、湿布薬も実は皮膚から吸収される消炎鎮痛剤(頭痛薬と同じもの)なので使用しないようにしましょう。
当院では、専用のベッドでお腹への圧迫を起こすことなく、安全に腰痛の治療が行えます。手で行うリハビリ治療で腰椎の過剰な前弯(反り)を修正し、仙腸関節など骨盤を調整することで腰痛を改善します。その後に骨盤が不安定な方は骨盤ベルトを使って骨盤の動きを安定させます。骨盤の動きは出産に向けて柔らかくなっていくものですが、痛みを改善して母体へのストレスを減らすことはとても重要です。
また、当院では自分でできるストレッチ体操などをお伝えし、腰痛の改善とともに再発予防に役立てます。

参考文献:妊婦に対する理学療法

妊娠中はいつまで治療を受けられますか?

妊娠中はおよそ36週まで当院で治療を受けることができます。ただ、妊娠後期に切迫早産になって外出しづらくなることもあるので、腰痛を発症したら早めに治療を受けることをお勧めします。
また妊娠中や出産後に腰痛を訴える方は、以前にぎっくり腰や椎間板ヘルニアを経験しているなど、元々腰の状態がよくない場合が多いです。妊娠中や妊娠前から腰を良い状態にしておくことが、出産後や育児中の腰痛の予防につながります。
出産後は授乳や抱っこなどよって腰への負担が増大する一方で、育児に追われ治療を受ける時間が十分に取れないことがありますので、早めに治療を開始して出産、育児に備えましょう。

妊婦の腰痛治療のまとめ

・妊娠中の腰痛に薬・湿布は使わないようにしましょう
・当院では妊婦さんに安全な手で行うリハビリ治療を行っています
・腰痛を発症したら、すぐに治療を開始することをお勧めします

参考文献:腰痛を呈する妊婦へ理学療法を実施した際の介入前後と産後1ヶ月までの経時的な身体機能変化