【執筆者】整形外科医 竹谷内 康修 

慈恵医大卒。福島県立医大整形外科に入局。米国のナショナル健康科学大学でリハビリ技術を習得。2007年東京駅の近くで開業。著書・マスコミ掲載多数。

最終更新日:2020年10月28日 公開日:2019年12月4日

腰部脊柱管狭窄症のストレッチ体操による治療法

腰部脊柱管狭窄症は、神経が圧迫されて発症しますが、腰椎を前に曲げると脊柱管が広がって神経の圧迫が緩和します。院長は、腰椎を前に曲げて脊柱管を広げるストレッチ体操を長年にわたって著書や雑誌などで紹介してきました。なかでも簡単に行える2つのストレッチ体操をお伝えします。

横向きで行う膝抱え体操

もし左足に痛みやしびれが出ている場合は、左側を上にして横向きに寝ます。次に両膝を両手で抱えて胸に近づけ、腰を最大限に丸めます。しっかり腰を丸めたら、形を崩さないようにしながら力を抜き、その体勢を2~3分キープします。1日に数回行いましょう。下の写真をご参照ください。

座って行う腰丸め体操

座って行う腰丸め体操は、仕事や家事の合間に手軽に脊柱管を広げられる便利な体操です。椅子に座って体を前に倒して最大限に腰を丸めます。30秒位キープします。1日にこまめに何度も行って下さい。

腰部脊柱管狭窄症のストレッチの膝抱え体操

院長が考案したストレッチの横向きで行う膝抱え体操

腰部脊柱管狭窄症のストレッチの腰丸め体操

腰部脊柱管狭窄症の治療で行うストレッチの腰丸め体操

※股関節が固い人は、股関節に負担を掛けない範囲で腰を最大限に丸めて下さい。また、膝抱え体操や腰丸め体操で、症状が強くなる、あるいは改善しない人は中止して下さい。

腰部脊柱管狭窄症の当院での治療法

当院は腰部脊柱管狭窄症の保存療法を長年にわたり専門的に行っています。とくに手を使ったリハビリ治療を主に行っています。

腰部脊柱管狭窄症の病院での治療法

整形外科などの病院で行う脊柱管狭窄症の治療法は大別すると、3種類の保存療法(薬物療法、リハビリ、神経ブロック注射)と手術の4つがあります。

参考文献:腰部脊柱管狭窄症の診断と治療

腰部脊柱管狭窄症の薬物療法

腰部脊柱管狭窄症でよく使われるお薬は、近年、3種類が最も使用されています。ロキソニン、ボルタレン、セレコックスなどの消炎鎮痛剤、リリカという神経障害性疼痛治療薬、オパルモン、プロレナールといったプロスタグランジンE1製剤です。そのほかには、トラムセットやトラマールという弱オピオイド鎮痛薬(麻薬の類似薬)も坐骨神経痛がひどい場合に使われます。補助的にメチコバールやメコバラミンというビタミンB12製剤も使われることがあります。

腰部脊柱管狭窄症は、神経が圧迫されている病気ですが、薬で圧迫が大きく緩和するわけではありません。そのため、薬は痛みなどの症状を緩和しますが、薬で病気が治ることは期待できません。

参考文献:腰部脊柱管狭窄症に対するプロスタグランディンE1の効果

整形外科でのリハビリ

整形外科で一般的に腰部脊柱管狭窄症に行われているリハビリは、牽引療法、温熱療法、マッサージ療法、運動療法などです。残念ながら、腰部脊柱管狭窄症の症状がよくなるリハビリは確立されていません。各病院で、理学療法士が試行錯誤しながらリハビリを行っているのが現状です。また、リハビリを行う理学療法士の技術レベルはまちまちですので、リハビリを受けるのにも注意を要します。

腰部脊柱管狭窄症の神経ブロック注射

神経ブロック注射は、痛みを起こしている神経を局所麻酔薬で一時的に麻痺させ、痛みの伝達をストップさせます。それによって痛みを緩和する治療法です。

神経ブロック注射にはたくさんの種類がありますが、腰部脊柱管狭窄症で行われるのは、主に2種類あり、それは硬膜外ブロック注射と神経根ブロック注射です。ブロック注射を行っている病院は多くはありません。

・硬膜外ブロック注射

硬膜外ブロック注射では、脊柱管の中にある硬膜外腔に局所麻酔薬を注入します。すると、薬が硬膜外腔を広がっていき、そこを通る多数の神経が麻痺します。それによって痛みが緩和します。腰部脊柱管狭窄症では、1本あるいはせいぜい2、3本の神経が圧迫されていますが、硬膜外ブロックでは一気に10本くらいを麻痺させます。例えていうと散弾銃で鳥の群れを撃つような方法です。次に説明する神経根ブロック注射と比べると、効果は若干劣ります。

・神経根ブロック注射

神経根ブロック注射は、腰椎から神経が外に出たあたりの神経根とよばれる部位へ局所麻酔薬を注入します。神経が圧迫されている部位のすぐ近くにピンポイントで狙います。例えると、スナイパーが標的を狙って撃つような方法です。針が神経根に当たると電撃痛という激しい痛みが、普段痛みやしびれがある足の部位に走ります。一本の神経を狙って注射するので、もし痛みがとれれば、手術でその神経の圧迫を取れば改善することができるだろうという診断にもなります。レントゲンの透視下で行うので、外来でその場でできる治療法ではありません。

ブロック注射はいずれも、神経の圧迫を改善する治療法ではありません。そのため神経の圧迫の程度が大きく、重症であればあるほど注射による症状の改善が一時的になる傾向があります。病院では、ブロック注射は手術を受ける前の最後の保存療法という側面があります。

腰部脊柱管狭窄症の手術

・ 手術を行う場合とは

手術は、足に力が入らない、膀胱や直腸の症状がある、臀部痛や、足の痛み・しびれで通常の日常生活が全く送れないなどの重症な脊柱管狭窄症の場合に行います。そこまで重症ではなくても、趣味のゴルフができない、生き甲斐の旅行へ行けないなどの理由で手術に踏み切る場合もあります。

手術では、足や膀胱直腸に関係する神経の圧迫を取り除きますが、手術の操作で既に傷んでいる神経にダメージを与えることもあり、相当の危険があることを覚悟して行います。

参考文献:腰部脊柱管狭窄症の保存的治療例と手術的治療例の比較検討

・ 手術を受ける病院・先生選び

いざ手術を受けることにしても、どこの病院でどの先生の手術を受ければよいかに悩むものです。腰部脊柱管狭窄症の手術は、数多く手がけている病院がたくさんあります。また、経験を積んだ先生も大勢います。目安として腰の手術を年間100件以上手掛けているような病院を選んで受診し、担当の先生が丁寧に説明をして下さり、信頼できそうであるかが最大のポイントになります。

腰部脊柱管狭窄症では、手術で症状がよくなることが多いのですが、期待したほどよくならなかった、症状が変わらない、逆に悪化してしまったというトラブルが意外に多いのです。期待通りにいかない場合に後悔しないためにも、担当医が信頼できる先生かどうかが最も大切です。

腰部脊柱管狭窄症のリハビリでやってはいけないこと

前述のように、脊柱管は腰を前に丸めると広がります。逆に、腰を後ろに反らすと脊柱管が狭くなり、神経が強く圧迫されます。そのためかがんだり、しゃがんだりすると足腰の痛みが楽になり、腰を反らすと症状が悪化します。ですから腰部脊柱管狭窄症の患者さんは、腰を反らすリハビリは、症状を悪化させる危険があるので、やってはいけないことだといえます。
ただし、軽症な人のなかには、椅子に座ったままであれば、腰を反らすリハビリを行っても悪化しない場合もありますので、そういう方は、座ったまま腰を反らすリハビリであれば行ってはいけないわけではありません。
非常にまれですが、腰部脊柱管狭窄症でも腰を丸めると症状が悪化し、反らすと楽になる患者さんもいます。もちろんそのような人は腰を反らす体操を行っても構いません。

【関連ページ】

・腰部脊柱管狭窄症とは
・腰部脊柱管狭窄症の症状
・腰部脊柱管狭窄症の分類
・腰部脊柱管狭窄症の治療法

各ページで腰部脊柱管狭窄症の詳細を解説しています。